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ここ数年、フレックスや裁量労働で勤務するビジネスパーソンと関わる機会が多くなった。政府主導の働き方改革の効果のあるなしは企業によって様々だろうが、ワークライフバランスを重視し始めている傾向なのかもしれない。
実際、20代向け就職情報サイト「Re就活」が登録会員を対象に実施した就職活動に関するWEBアンケートの結果、入社先を決める際は企業規模よりもワークライフバランスを重視していることが判明した。
入社のポイントは残業の少なさや勤務地
Re就活とは、会員数70万人を誇る国内No.1の20代向け転職サイトだ。今回は調査対象を全国のRe就活会員とし、就職・転職活動に関するアンケートを実施した。
まず、求人情報で気にするポイント、入社先を決める際に重視するポイントを聞いた。その結果、それぞれにおいて「残業の少なさ、休日の多さ」、「勤務地」が重視するポイントだった。仕事内容だけでなく、労働条件をしっかりと見極めて、プライベートを重んじようとする20代の志向がうかがえる。
また、転職理由の上位は、「人間関係・社風が合わない」、「ワークライフバランスが悪い」となっており、現在の環境や条件面を改善すべく、転職を考える若者が多いことが見てとれるとしている。
また、実際に働いた上で当初イメージしていた条件とのギャップを感じ、転職を意識しだすこともうかがえた。
「未経験の仕事にチャレンジしたい」と考える職歴あり層は80.9%、職歴なし層は74.7%と、ともに高い水準となった。その一方で、職歴あり層、なし層ともに6割以上が「未経験でも歓迎してもらえるかどうか」を心配している。
また、未経験の仕事に対し、「自分に合う仕事か判断できない」「研修制度・教育制度」に対しても同様に不安を抱いていることがわかった。未経験の中途社員に対し、研修や教育によってフォローする環境作りや、即戦力だけでなく未経験者も受け入れていく体制も今後必要になると同社では予測している。
政府が進める「働き方改革」とは
ここで、「働き方改革」について簡単にまとめてみたい。
「働き方改革」とは、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」や「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」など我が国が直面している問題に対し、個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現を目指すという政府の改革案だ。
具体的には、長時間労働の是正、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、働きやすい環境の整備、健康管理改善などについてを政府主導のもとに進めていこうという計画である。
この「働き方改革」推進の成果は、ある程度世の中に浸透してきている。では、その実情や働き手はこの変革をどう感じているのだろうか?
以前、AMPでも取り上げたが、エン・ジャパン株式会社の総合求人・転職支援サービス「エン転職」の調査によると、企業の43%が「取り組んでいる」と回答した。
また、「自社が働き方改革に取り組んでいる」との回答者に、具体的な取り組みを質問した。第1位は「ノー残業デーや深夜残業禁止など、長時間労働の見直し」(69%)、第2位は「有給休暇取得の推進」(48%)、第3位は「業務プロセス改善やツール導入など、仕事の進め方の見直し」(29%)だった。
規模別で取組比率にギャップが見られた項目は「有給休暇取得の推進」や「女性管理職登用など、女性活躍の推進」だった。
また、「働き方改革について、個人でできること」を質問すると、第1位「仕事の進め方や取り組み方を工夫していく」(56%)、第2位「周囲と協力する体制を作っていく」(44%)、第3位「効率化に対する意識づけを行う」(39%)だった。
この調査では、「働き方改革」は着実に浸透していることが分かった。そして、働き手の考え方としては、ワークバランスを重視する傾向にあることが分かる。そして、これからはミレニアル世代が働き手の中核を担う。このため、この働き方改革についての意識というものは、ミレニアル世代の仕事に対しての価値観でもあるのだ。
大企業に所属する安心感からワークバランス重視の時代へ
かつては、レベルの高い学校を出て、より規模の大きい企業に入ることが人生の成功への一歩とされていた。そして、それを目標に学生や若手は努力していたものだ。
このような考え方の根底にあるのは、大きな組織に所属するという安心感だったのはないだろうか。特に我が国は伝統的に「集団」を重んずる傾向にあったため、そのような価値観が浸透していたのだろう。
しかし、時代は確実に変貌しようとしている。「会社にどう利益をもたらすか」より「自分がどう有意義に働くか」を重視する時代に変わろうとしているのだ。