美容大国・韓国の驚くべき流行

韓国といえば、何かと美容への関心が高いというイメージが強かったり、コスメやメイク、はたまた美容整形に至るまで話題になることも多い。そんな韓国で「さすが」というべきか、戸惑うべきか驚くべき流行が見られる。

それは、「女子小・中学生たち」の美容ブームである。聞く所によると、小学生からのスキンケア、リップなどの使用は基本という。この話を最初に聞いた時、にわかに信じがたく半信半疑であったものの、身近でのリサーチを進めていくうちに彼女たちの実態が見えてきたのである。

中学生よりも小学生の方が美容に寛容?

女子小・中学生の美容ブームが本当であるかを知るべく、まずは女子小・中学生や、その年代の子どもを持つ母親たちに話を聞いてみることにした。すると、そこでわかったのは予想以上に「美意識の低年齢化」が進んでいるということである。


韓国の人気コスメブランドの一つ「THE FACE SHOP(フェイスショップ)」。こうしたコスメショップは至るところにある。

小学校高学年の女子やその母親に話を聞くと、「実際に日焼け止めのためにBBクリームや、リップに色付けをする『ティント』を使っている」といい、「BBクリームとティントは必須アイテム」なのだとも。また、さらに進んでいる子は、ネイルやヘアケアにも気を使っているというから驚きである。

「小学生なのに!」と内心、かなりの衝撃を受けた筆者は、時代遅れなのかも知れないが、確かに周囲の小学生たちを見ていると、最近はスラッとしたスタイルの良い子が多く、さらには、パーマやカラーリング、ピアスをしている子も見かける。

では、こうした状況に、教育現場である学校はどのように反応や対応をしているのだろうか?

意外にも、学校の対応は寛容ともいえ、こうした児童やその家庭に対して何らかの注意や指導を行っている程度といった様子。しいていうならば、教諭が「過度になり過ぎず、子どもの肌に害のないものを選んであげてください」といった趣旨のことを話すくらいとのこと。

女子中学生にもスキンケアやメイクをする傾向はあるものの、こちらは小学生ほどの派手さは感じられない。韓国では私立・公立を問わずすべての中学校に制服の着用が義務付けられており、定期的な風紀検査も実施されている。男女共に髪型、制服の丈、着用の仕方、女子については化粧についてが「校則」として禁止され、保護者に対しても家庭での指導が奨励されている。ちなみに、違反が連続すると高校進学の内申点の減点対象となるため、校則を守っている生徒が多いという印象を受ける。

こうしたことから美容に関しての行為は小学校の方が寛容であるといえるかも知れない。また、親たちも「周囲もやっているなら」という考えで子どものスキンケアやコスメの使用を容認している。

リーズナブルで可愛いコスメブランドが豊富


コスメショップの店頭。様々な商品のポスターが貼り出されている。韓国コスメはリーズナブルな価格ながらクオリティが良いことや、アイドルをイメージキャラクターに起用するなど韓国にとどまらず海外でも人気を集めている。

韓国を訪れる女性観光客の多くが旅の目的としているのが、ショッピングであり、中でも「コスメ」は必ずといって良いほど、韓国土産のリストに含まれる。2000年代の初めに韓流ブームが日本でも広まり、韓国女優や女性アイドルのファッションやヘアメイクにも注目が集まった。これにより、BBクリームをはじめとする韓国のコスメ人気にも火がついたのである。

BBクリームの先駆けともなった「MISSHA(ミシャ)」の他、「The Face Shop(フェイスショップ)」、「Tony Moly(トニーモリー)」、「innisfree(イニスフリー)」などは日本でもおなじみの韓国コスメブランドではないだろうか。

海外進出を果たしているコスメブランドも多く、特に東南アジアでは女性たちの「美白ブーム」も手伝って、韓国コスメはデパートなどでは「高級コスメ」として欧米や日本の有名コスメブラントと売り場を並べている。

これらの韓国コスメブランドは本場韓国では、繁華街や学生街、スーパーやショッピングモール内に店舗を構えているが、手頃な価格の割に高級感やキュートなデザインパッケージのものが多いことや、多くのコスメブランドが旬なアイドルや芸能人をイメージキャラクターとして起用していることも人気の秘密といえよう。また、スタッフが気軽に商品のおすすめや流行を気さくに教えてくれるのも買い物がしやすいといえる。

そこで、ここでも前述の女子小・中学生の「美容ブーム」を確かめるべく、「おすすめ商品」を聞いてみた。やはり、日焼け止めクリームやBBクリーム、ティントは人気のマストアイテムともいえること、さらに、ティントについては人気の色まであり、「ピンクよりも顔立ちが目立つようにレッド系がおすすめ」とのことだ。

ちなみにスキンケアについては中学生になると女子のみならず、男子もにきびによる肌荒れの悩みを抱えることが多く、こうしたコスメブランドではティーンの男子向けのスキンケア商品も出されている。さすがは美容大国の韓国というべきか。


女子小・中学生の人気アイテム「日焼け止めクリーム」と「ティント」。どちらもコスメショップのスタッフによるおすすめ商品。

なぜ、ここまでの美意識?

韓国の小・中学生の「ファッション・美容事情」を聞いて、驚いた方やこうした流行や傾向が「低年齢化」することに抵抗を感じる方もいるのではないだろうか?また、韓国の人々が「なぜ、老いも若きも美意識が強く『外見』にこだわるのか?」という疑問を持つ方も多いことだろう。

今でこそ女性の社会進出が進み、様々な分野で活躍し、男性よりも優れた能力を発揮する女性も多いものの、韓国社会は儒教精神に基づく影響を強く受けている部分があり、「家長主義」すなわち、男性が優位で女性の立場は低いという価値観が根強くあった。このため、女性に望まれることは「学」よりも「美」であった。これが、今でも韓国で人々の中に「美意識の高さ」が根付いている所以といえる。

また、日本であれば友人や親族といった親しい間柄であっても相手の「外見」についてあれこれと指摘をすることは失礼極まりないことであり、タブーとされているが、韓国では、親しいからこそ、互いの「外見」について指摘することも自然なこととされている感がある。よって、大学入学を控えた女子高生や就活中の女子大生が「プチ整形」をすることも、韓国では特別なことではないのである。

もちろん、「美意識」を高く持つことは悪いことではない。しかし、あまりにもそればかりにとらわれてストレスを受けることは、子どもの精神成長にも良い影響を与えるとはいえず、流行に流され過ぎずに子どもが自信感や安心感を持てるようにサポートしていくことが親としても必要不可欠といえるのではないだろうか。

文:原美和子
編集:岡徳之(Livit