ソフトバンクやホンダから巨額の資金調達を受けたことで話題となった、配車サービスを運営する「Grab」。

東南アジア最大級のO2Oモバイルプラットフォームを所有し、「交通」、「食」、「ショッピング」の分野において安全かつ安価なサービスを展開している。

そのGrabが、東南アジアに向けた同社オープンプラットフォーム戦略の一環として、東南アジア向けて「GrabPlatform」、「GrabFresh」を発表した。

オンデマンド食材デリバリーサービスGrabFreshも開始

Grabは同社の最新サービス、GrabFreshを発表した。GrabFreshはオンデマンド食材デリバリーサービスであり、Grabのアプリ内で利用可能だ。

GrabFreshはGrabPlatformを活用し、東南アジア一位の食材デリバリー企業であるHappyFreshのサービスを統合したもので、GrabFreshにより、レジの前の長蛇の列に並ぶ手間をかけずに食材を購入することが可能になる。

また、HappyFreshとパートナーシップを結ぶことにより、Grabを利用するユーザーは自宅にいながら食材を購入することができる。生鮮食品および冷凍食品も購入商品に多く含まれることから、GrabExpressドライバーおよびデリバリーパートナーが自宅の玄関に1時時間以内、あるいは事前に指定された時間に届ける体制としている。

具体的には以下のメリットがある。

  • 50の大手スーパーマーケットチェーンおよび特選品取り扱い店チェーンが提供する10万点を超える食材のセレクションを提供
  • 生鮮食材などの品質の見極めに長けたパーソナルショッパーがユーザーの要望に沿った商品をピックアップする。また、商品に満足しなかった場合はその場で受け取りを断ることも可能だ
  • 必要な時に簡単操作で、フレキシブルに自宅の玄関に食材を届ける

HappyFresh CEOギエム・セガーラ氏は次のように述べている。

「弊社の調査によると、食材デリバリーアプリのユーザーの7割以上が週に1度、自分が慣れ親しんだストアで買い物をする。GrabFreshは他の既存の食材デリバリーサービスと比較して、最も広範な食材のセレクションを提供している。Grabが提供する大勢の配達ドライバーのお陰で、デリバリースロットの追加と、デリバリー時間の改善が可能となる。」

GrabFreshは7月よりインドネシアのジャカルタでベータサービスの提供を開始する。2018年末までにタイ、マレーシアでもサービスを開始する予定。また、その他の国にも順次サービスを展開していく方針だ。

東南アジア全域へ効率よくサービスを拡大

加えて、GrabPlatformは輸送や物流、決済、ユーザー認証、メッセージ送受信、情報、マッピングなどのGrabのテクノロジーへのアクセスを可能にする一連のAPIだ。

これを通じ、Grabのパートナー企業はGrabアプリへ自社のサービスを統合することが可能となる。物流や決済といったGrabPlatformを通じ、パートナー企業はGrabのユーザーベースや東南アジア最大の販売網を活用し、東南アジア全域へ効率よくサービスを拡大することが可能となる。

「GrabPlatformは東南アジアの全ての経済価値を増幅させる。それはGrabが単体で生み出すことができる経済価値を遥かに上回る。」

とGrab CEOアンソニー・タン氏はコメントしている。

GrabPlatformにより、パートナー企業はGrabの中核的資産にアクセスできる。東南アジアではこのような資産を提供できる企業は他にはなく、その中には東南アジア最大となる710万人の運転手や配送パートナー、エージェント、小売店網に加え、東南アジア8カ国225都市に展開する幅広い事業領域、東南アジア市場向けの多くの技術や製品が含まれるという。

アンソニー・タン氏は次のように述べている。

「東南アジアは2050年までには、世界第4位の経済になる。Grabの資産とパートナー企業の専門性を組み合わせれば、Grabもパートナー企業も共に最も効率的かつ迅速に成長し、さらに多くの東南アジアのお客様に日々サービスを提供できるようになる。」

GrabPlatformのパートナー企業は、Grabと協働することで、事業運営上の複雑さが解消されるという。

GrabPlatformへの組み込みについては、パートナー企業は、HappyFreshが提供するGrabFreshのように、より多くのサービスをGrabのユーザーに直接提供できる。

GrabPlatformを使った事業強化として、パートナー企業は、自社のウェブサイト、あるいはアプリにGrabのテクノロジーや製品を統合できる。パートナー企業が統合できる製品には、モバイル決済用のGrabPay、配送用のGrabExpress、ユーザー認証用のGrabProfilesなどがある。

また、GrabPlatformを通じたエンゲージとして、パートナー企業は、Grabのニュースフィード、レビューやプロモーションなどの有益なコンテンツを通じたGrabRewardsのロイヤリティープログラム経由でGrabのユーザーと積極的にエンゲージできるという。

東南アジア初の10億米ドルの売上を達成する企業へ

Grab は今年で創業6年目の年になる。これまでに以下の実績を達成してきた。

  • 2018年7月7日、ライドシェアサービスの利用回数が20億を突破
  • 東南アジアにおいて2018年内に10億米ドルの売上を達成する最初の企業となる見込み
  • 輸送事業は過去12カ月でGMV(総流通総額)が2倍以上の成長
  • GrabFoodは第2四半期に2カ国から6カ国へ事業拡大し、GMVは過去12ヶ月で9倍に成長
  • 2018年1月から5月までの5カ月間で、Grab Financialの総決済額は2倍以上

これらについて、Grab CEO兼共同創設者、アンソニー・タン氏は次のように述べている。

「私たちは過去6年間、テクノロジーの改善と顧客層の拡大に尽力してきた。私たちの提供するサービスは、タクシー業者向けの配車予約プラットフォームとしての技術の活用から、Eコマース企業向けのデリバリードライバーの提供にまでに進化した。

ゆくゆくは東南アジア全域に弊社のオープンプラットフォームのエコシステムを展開する。私たちほどこの地域において他のスタートアップやビジネスの成長、拡大を支援できる会社はない。」

また、Grabは、Yahooとコンテンツパートナーシップを開始した。Grabのユーザーは7月から、シンガポールやマレーシア、フィリピンでいつでも最新のニュースを読むことができるという。他国の現地ニュースメディアとのパートナーシップも近日中に発表予定だ。

Grabの新機能はシンガポールとインドネシアにてiOS版では本日より、アンドロイド版は7月18日から利用を開始する。他国においては第3四半期までには開始する予定である。

Grabが東南アジアを征する日

同社は、モバイル端末ダウンロード数1億回を越えるアプリをベースに、710万人ものドライバーのネットワーク、デリバリーパートナー、小売店やエージェント、確立された決済手段およびバックエンドテクノロジーを有しているという。

ゆくゆくは東南アジア全域に同社のオープンプラットフォームのエコシステムを展開するとしている。Grabが東南アジアを征する日も近いかもしれない。

img:PR TIMES , Grab