以前はポイントカードで財布がかさばるののも見慣れた光景であったが、いまではすっかりアプリ化が進んでいる。

消費者にとっての利便性はもちろんだが、店舗側としてはアプリ導入によって顧客管理ができるという大きなメリットがある。

少子高齢化による人口減少時代のなか、顧客関係管理(CRM)の強化に向けて新たなサービスが登場した。

飲食業でニーズが高まる、決済型顧客管理サービス

betrendは、スマートCRMプラットフォーム「betrend」のオプションサービスとして決済機能を追加した「betrend パスチケ」をリリースした。

betrendは、スマートフォンや携帯電話を活用し、企業が顧客に対して情報配信するスマートCRMシステムとして、飲食・小売・サービス業を中心に2,500社35,000店舗以上に導入されている。

これまでは顧客管理、行動履歴管理、分析・抽出、情報配信の4機能を中心にサービスを提供してきたが、「betrend パスチケ」で決済機能を追加されたことで、近年ニーズの高まってきた“決済型顧客管理サービス”として一元化された。

「betrend パスチケ」はクレジットカード・キャリア決済・電子マネーなどの決済手段に対応し、“定期券”や“事前決済チケット”などの店舗販促用コンテンツを販売する機能が提供されていく。その第一弾が“定期券”だ。

飲食店向け“定期券”には2種類ある。交通機関の“定期券”と同様に購入者が一定期間特定のメニューを食べられる「都度引換型」と、一定期間繰り返し使用できるクーポンタイプの「都度割引型」だ。

定期券は一般的に紙のカードで展開しているが、「betrend パスチケ」ではスマホアプリで購入・管理でき、都度引換型・都度割引型の両方に対応している。

こうした“定期券”は消費者に対しては決済のシンプルさやお得感が売りとなるが、企業側にも“月額制ビジネス化”として注目されている。

スマホアプリの活用性と紙カードの使いやすさ

さらに「betrend パスチケ」では、betrendが培ってきたCRMの手法や多様なオプションを活かして、顧客とのコミュニケーションの強化を目指す。

たとえば、電子スタンプ・音波・レジ読取・店舗スタッフ向けアプリでの読取など、企業ごとに適した利用方法を選択し、ユーザごとの利用回数やタイミングなどを利用履歴として管理できる。

そうしたデータを効果測定や分析に活用したり、利用頻度向上を促すお知らせの配信や、次回以降の販促施策におけるグルーピングの指標としての活用したりするという。紙の定期券では実現できなかったスマホアプリならではアプローチだ。

「betrend パスチケ」がユニークなのは、こうしたスマホアプリの特性を活かしたサービスを提供するとともに、紙カードも併用できる点だ。

紙カードとの併用方法には“アプリ連携カード”と“シリアル販売カード”の2種類がある。

“アプリ連携カード”は、店舗で紙カードを販売してスマホアプリの会員情報と紐付ける。店舗オペレーションは使いやすい紙カードで行い、利用履歴を活用したお知らせなどはスマホアプリを通じて配信する方式だ。

“シリアル販売カード”は、“定期券”自体はスマホアプリに集約するものの、“定期券”の権利をカード化して店舗でも購入できるようにする。ネット決済に抵抗があるお客様やクレジットカードを所有していない顧客を対象としたものだ。

紙カードとの併用には、対象顧客の拡大やオペレーション負荷削減の効果があるというわけだ。

単なる決済システムではなく、顧客動向を把握しているbetrendだからこそ、さまざまなオプションの組合せによる相乗効果を狙ったアプローチができるのだろう。

顧客関係管理に画期的なサービスは登場するのか

betrendは2014年実績で、スマートCRMプラットフォームのシェアNo.1(市場占有率56.8%)を獲得している(富士キメラ総研『月刊BT』、2015年4月)。

人口減少と多様化するニーズにより、顧客との継続的で密なコミュニケーションは企業にとって重要課題だ。

“定期券”が広まりつつあるように、顧客管理にどのような新サービスが現れてくるのか、今後の動向に注目したい。

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