帝国データバンクでは、企業概要データベースCOSMOS2(147万社収録)から、2014年度~2017年度まで4期連続で決算業績が判明している国内玩具関連企業2,515社を抽出し、その実態を調査、2018年12月7日にその結果を発表した。

それによると、2017年度の売上高合計は前年度比23.9%増の4兆2,008億円となった。

2017年度の売上高合計は前年度比23.9%増の4兆2008億円

この調査は、玩具(各種おもちゃ・娯楽用品、テレビゲーム機、人形など)の製造、卸、小売を主業とする企業を「玩具関連企業」として定義し、売上高規模別、地域別、業歴別、増収・減収動向について分析したものだ。

玩具の製造、卸および小売を主業とする企業(2014年度から2017年度まで4期連続で業績が判明しているもの)は、全国に2,515社判明しているという。そのうち、製造は474社、卸は1,147社、小売は894社となっている。

調査の結果、2017年度の売上高合計は4兆2,008億円で前年度比23.9%の増加となった。製造・卸・小売それぞれをみると、製造は1兆1,409億円で、前年度比113.4%増と大幅に上回った。卸は2兆5,509億円(前年度比8.7%増)、小売は5,089億円(同0.3%増)と製造・卸・小売の全てで前年度を上回った。

製造業では任天堂が、2017年3月に発売した「Nintendo Switch」の好調から売上高が9,784億9,600万円で前年度比169.3%の大幅増加、製造業全体をけん引し大きく前年度を上回っている。

しかし、任天堂を除く玩具製造業者473社の売上高合計をみると、1,624億8,800万円(構成比14.2%)で前年度比5.2%減になったという。

卸に関しても任天堂の関連会社が好調のため卸全体を底上げした。小売は小幅な増加にとどまっているものの、唯一の3年連続の前年度比増加している。

売上高規模別では「1億円未満」と「1億円~10億円未満」が約9割

また、売上高規模別でみると、「1億円未満」が1,177社(構成比46.8%)で最多となり「1億円~10億円未満」と合わせて約9割を占めたという。業種別では、製造と小売で「1億円未満」が製造(245社、
構成比51.7%)、小売(582社、同65.1%)で最多だった。卸では「1億~10億円未満」(598社、同52.1%)が最多となった。

売上高(2017年度決算)トップは、ゲーム機「Nintendo Switch」などを手がける老舗玩具メーカーの任天堂(売上高約9,784億9,600万円)、次いで家庭用ゲーム機「プレイステーション」シリーズを手がけるソニー・インタラクティブエンタテインメント(売上高約8,823億3,100万円)となり、前年度から入れ替わったという。

小売のトップは、米・トイザらスの経営破綻で動向が注目されていた全国に160店舗以上を展開する日本トイザらス(売上高約1,394億5,300万円)だった。

地域別では「関東」が1171社で最多

地域別でみると、「関東」が1,171社(構成比46.6%)で最多だった。業種別でも「関東」が製造232社(同48.9%)、卸660社(同57.5%)、小売279社(同31.2%)で最多。特に卸では、構成比が57.5%で過半数超えとなった。

帝国データバンクでは、「関東」660社のなかでも「東京都」で485社を数え、大企業をはじめとして、物流面の良好な大都市圏での企業集積が見受けられるとしている。

その一方で、小売は「関東」「近畿」以外の地域で3業種中最多の社数となっており、大都市圏と地方での差がみられたという。

業歴別では「10~30年未満」が803社で最多

業歴別でみると、「10~30年未満」が803社(構成比31.9%)で最多となった。「100年以上」も146社を数えた。業種別では製造、小売が「50~100年未満」でそれぞれ181社(同38.2%)、262社(同29.3%)となり最多だった。卸では「10~30年未満」が441社(同38.4%)で最多となった。

特に製造は、業歴50年以上が45.1%と半数弱を占める一方、30年未満が29.1%で最小となり、参入障壁の高さをうかがわせたとしている。

明治時代(1868年)より前に創業した長寿企業は24社を数え、正徳元年(1711年)創業の吉德など雛人形や五月人形など伝統人形関連の業者が並ぶが、トランプなどのカードゲームや囲碁・将棋関連商材を扱う企業も見受けられたという。

業歴別では「10~30年未満」が803社で最多

4期分の売上高が比較可能な(最新2期で決算期変更をした15社を除く)玩具関連企業2500社をみると、減収企業数が増収企業数を上回った。業種別でみても同様に各業種ともに減収企業数が増収企業数を上回ったという。

小売は増収企業が130社(構成比14.6%)にとどまった。一方で、卸は348社(同30.5%)が増収で、増収企業数と減収企業数がほぼ同数となり、業種によって差が表れたとしている。

同社によると、こうした背景には、消費者が玩具を購入する際に玩具専門の小売店ではなく、インターネット通販を利用するほか、大型量販店や家電販売店などで購入するケースも増えていることなどが考えられると分析している。

この調査結果を受けて、帝国データバンクでは、「Nintendo Switch」の大ヒットを受けて、任天堂および関連会社の売り上げが飛躍的に伸びたことが大きな要因となったとみている。

また、一般社団法人日本玩具協会によると、ゲーム機に押されたことで、市場の中核の1つであるカードゲーム、トレーディングカードゲームが苦戦したが、昨年50周年を迎えた「リカちゃん」など女児向け玩具の好調が玩具業界を牽引しているという。

しかし、インターネット通販やインターネットコンテンツの拡大、大手量販店や家電販売店での購入など消費者の購入方法の多様化によって、特に玩具専門の小売業者は今後厳しい環境を迎える可能性もあると危惧している。

また今回の調査の結果にも表れたように、ヒット商品の有無によって大きく左右される業界であるため、業界動向は流動的という認識は変わらず、アニメなどのコンテンツや時代のトレンドを汲み取った商品展開をし続けていく必要があるとしている。

今後は玩具小売の枠にとどまらない取り組みはメーカー頼みかつ顧客離れを防ぐために求められていくだろう。来年には消費税増税も予定されており、新たな黒船到来で小売店を中心に動向が注目されると見解を示している。

<参照元>
任天堂好調、ヒット商品が牽引~製造・卸・小売ともに売上高合計増加~
帝国データバンク