さまざまな大人の“はたらく”価値観に触れ、自分らしい仕事や働き方とは何か?のヒントを探る「はたらく大人図鑑」シリーズ。今回は、大学在学中に沖縄物産の会社を立ち上げ、卒業後には海ぶどうを生産・販売する会社を設立した山城さん。

物産を取り扱う面白さを感じ始めた頃、「父親の会社を継ごう」とキャリアをシフトチェンジ。現在は、空気清浄機メンテナンス会社の2代目社長として活躍しています。チャレンジ精神を忘れずに、挑戦を続ける山城さんの働き方についてお伺いしました。

在学中に沖縄物産会社を立ち上げ、卒業後には海ぶどうの販売・生産会社を設立

——今、どんなお仕事をされていますか?

山:空気清浄機のメンテナンスを主に行う会社を経営しています。1年前に父親から会社を受け継ぎ、代替わりしました。

——大学を卒業後はどういった進路を歩まれたんですか?

山:美大に通っていたので、20歳くらいまではデザイン関係の仕事に進もうと思っていました。

ですが、父親が沖縄出身で、自分のルーツが沖縄にあることを強く意識していたので、何か沖縄に関わることをやりたいなと漠然と考え始めたんです。

——その漠然とした想いを形に変えるきっかけはあったんでしょうか?

山:当時、ドラマの影響で沖縄の食材がブームになっていたのもあり、22歳の時に仲間と沖縄関連の物産を扱う会社を立ち上げました

ゴーヤや海ぶどう、泡盛や沖縄そばが人気商品でしたが、その物産会社を運営していくうちに、メーカーの強さというものに気づいたんです。

——どういった点ですか?

山:物産会社の規模でできることには限界があり、仕入れの量も種類も限られてしまいます。

ですがメーカー側、つまり生産者サイドに立てば、そういった制限が少なくなるので、もっと幅を広げられるのではないかと思いました。

そこで、海ぶどうを生産、販売する会社を立ち上げることにしました。

父の会社を受け継いでいくことを決意。そしてまた新たなチャレンジへ

——海ぶどうを扱う会社から、お父様の経営される会社を継がれた経緯には何があったんですか?

山:10年ほど前に、父親が体調を崩したことがきっかけです。ちょうど沖縄で海ぶどうの会社を立ち上げたばかりの頃でした。

——お父様から「会社を継いでくれ」というような意思があったのでしょうか?それとも山城さん自ら提案されたのですか?

山:父親には結局、最後まで一度も「継いでくれ」とは言われていないですね。

正直言うと、20代前半の頃は、空気清浄機のメンテナンスという仕事自体に興味が持てなくて、あまり乗り気ではなかったんです。

——乗り気ではなかった仕事を継ごうと思ったのはなぜですか?

山:「父の創り上げた会社を継いで、大きくしたい」という気持ちが出てきたんです。

代替わりをするまで、10年間という長い期間があったので、色々なことを勉強しながら引き継げたのではないかなと思っています。

——キャリアをシフトチェンジされる時は悩まれたんでしょうか?

山:そうですね。納得のいくまで考えた末に継ぐことを決めました。

仕事をする上で大切なことは、仕事がどういうジャンルか、ではなく、何をどういう風に工夫して楽しんでいくか、ということだなという結論に至ったので、スッキリとした気持ちで新しいジャンルに飛び込むことができました。

——美大からビジネスの世界に進まれた山城さんですが、ジャンルが違うことを学んできたことが役に立ったと思われた経験はありますか?

山:これまでクリエイティブ方面に使っていた頭を、経営やお金に関することへとシフトチェンジする必要がありました。

でも、美大に行っていて良かったなと思えるのは、色んな視点から物事を見ることができる所だと思います。

畑違いの場所にいたからこそ、他の人とは違う視点で別の角度から物事を捉えられているんじゃないかなと感じています。

今そういった視点から、新しいチャレンジにも挑戦中です。

——どういったチャレンジですか?

山:6年ほど前から沖縄県でコーヒーの栽培を始めたんです。

沖縄県は産業が非常に少なく、地場で作られるものは限られています。沖縄の産業を広げたいという気持ちからチャレンジを続けています。

——すでにビジネスとして成立しているんですか?

山:いえ、実はまだ一つも収益を生んでいません(笑)

沖縄でコーヒーを作ることが可能だと知ったのが7年前。

沖縄の北部で畑を借り、生の豆を植える所から始めていますが、最初の3年は実どころか花も咲かないという難しいチャレンジでした。

——なぜチャレンジを続けられているんですか?

山:父親が、バイタリティーに溢れ、色んなことにチャレンジする人だったんです。

今の空調機器のメンテナンスサービスの会社が生き残っているのも、多くのビジネスを試した中の1つなんです。

——お父様の影響もあるんですね。

山:そうですね。父親の影響もあって、常に面白いことをやりたいという気持ちを持っているのかもしれません。

沖縄でコーヒーが本当に作れるのかどうかを確かめたいという好奇心も強くありました。

——コーヒー生産の方で何か目標はお持ちですか?

山:沖縄の海ぶどうが日本国内でもかなり浸透してきているのと同じように、「沖縄に来たならコーヒー飲まなきゃ!」という風になっていくと思います。

地産の豆で淹れたてのコーヒーを飲むというスタイルを沖縄県の名物にしたいと思っています。

変化していく仕事を楽しみ、自分なりに“はたらく”を楽しむ

——“はたらく”を楽しむために必要なことはなんだと思いますか?

山:自分の中で何かしらの楽しみを見つけていくことだと思います。

僕が仕事を楽しいと感じられるのは、何かを変化させていくときです。

言われたことをやり続けていくことは面白くない時もあると思います。

でも、そのうちに何か改善すべき課題が出てきて、シフトチェンジするタイミングがやってくるんです。

その時々の課題を、頭を使って考えて実際にシフトしていく過程ってとても楽しいものですよ。

あと、社員を抱えている立場なので、変化していく世の中に合わせて仕事の幅を広げていくことも常に意識しています。

——楽しく働いていくために何か心がけていることはありますか?

山:常に人と会って刺激をもらうようにしています。

一時期、会社の経営や営業方面で多忙になり、あまり人に会わない時期が続いたことがあったんです。

そうすると外部からの刺激がなくなり、新しいアイディアも出てこず、自分自身の働き方がマンネリ化してしまいました。

それからはどれだけ忙しい時も、無理やりにでも人と会うようにしていますね。

——“はたらく”ことに関するご自分のルールや、これだけは譲れないというような思い、信念などがあれば教えてください。

山:2代目ということもあり、僕は社内で年齢が上の方ではないんです。

僕よりベテランの社員が何人もいますので、何をやるにしても、コミュニケーションを充分にとって、物事を丁寧に進めていくように意識しています。

仕事のスピードとしては遅くなってしまうこともあるんですが、チームワークが良くなるので結果的にはうまくいくんです。

——“はたらく”を楽しもうとしている方へのメッセージをお願いします。

山:仕事って、延々と同じ作業が続くわけではありません。

与えられた仕事を自分なりに一生懸命やってみてください

期待されていること以上のパフォーマンスができるように、ちょっとした工夫や仕事に対する姿勢を見直してみれば、向上心や追及心が芽生え、きっと自分なりの楽しさを見出せるのではないでしょうか。

山城 真志(やましろ しんじ)さん
株式会社空気清浄機サービス 代表取締役
美大在学中に沖縄関連の物産会社を親戚と立ち上げ、卒業後に海ぶどうを生産・販売する会社を沖縄と東京で設立。その後、父親の創業した会社を継ぐ決意を固め、現職へ。1年前に代替わりし、2代目として会社を運営。沖縄県でのコーヒー栽培にも挑戦中。

転載元:CAMP
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