日立ソリューションズ・テクノロジーは、独自のDNN技術を用いてカメラの画像からリアルタイムに自動車や人物、危険物などを検知し距離を測定する「画像認識エッジソリューション」の機能を強化。

開発期間の短縮とPoCの早期実現を支援するツールを新たに加え、対応デバイスを拡充し、2020年12月2日より提供を開始すると発表した。

近年、人工知能による映像・画像の解析技術や、ディープラーニングによる人に近い視認性を持つ画像認識技術は、周辺環境の安全性把握や障害物検知などが必要とされる監視カメラ、自動運転やロボティクスなどさまざまな分野で実用化されている。

また、工事現場や工場内などにおける事故を未然に防ぐためのリアルタイムな安全対策に加え、昨今の新常態(ニューノーマル)への対応として、密集密接を予防する用途としての注目も急速に高まっているとのことだ。

一方、これらの実現にあたっては、システム導入前に早期に試行して検討したいという要望や、本格導入に際し、効率的に短期間でシステムを立ち上げたいという要望が多くあるという。

今回、これらに対応する2つのツールを新たに加えることで、PoCの早期実現と開発期間の短縮が可能に。

さらに、システム導入前の試行についてコストを抑えたい、また、システムを小型化したいという要望に対応すべく、小型で軽量、安価なNVIDIA製「Jetson Nano」を新たにラインナップに追加。

「Jetson Nano」の追加によりコストを抑えたPoCの実現とシステムの小型化への要望にも対応可能になったとのことだ。

新常態(ニューノーマル)な環境構築を支援する強化機能

1.AI学習データ品質向上支援ツール

AI学習データ品質向上支援ツールは、学習データを解析する「データクレンジングツール」と誤認識データを解析する「誤認識分析支援ツール」から構成されている。

これらのツールにより、物体の誤認識の原因を見える化し、認識率の向上とカメラAIシステムの学習期間の短縮を実現。

  • データクレンジングツール
    学習データを解析し、認識率に悪影響のある不適切なデータを自動で抽出。悪影響のある不適切なデータを取り除くことで、認識率を向上する。また、増大する学習データのスリム化が可能となり、学習時間を短縮。
  • 誤認識分析支援ツール
    誤認識データを解析し、認識率に寄与する部分と寄与しない部分をピクセル単位で見える化して原因を明確にする。
    誤認識の原因を明確にすることで、学習に効果的な画像データの選定基準を明確に。選定基準に合った画像を学習データに追加することで、認識率を向上するとしている。

2.ソリューションパッケージ

ソリューションパッケージは、利用ニーズの高い、物体検出/測距/検出結果解析/結果出力の機能をあらかじめパッケージ化。

顧客は目的に合わせて機能を選択することで速やかにシステムを構築することができ、PoCの早期実施を実現するという。

「ソリューションパッケージ」を利用したソリューション例

  • 密集密接監視ソリューション
    オフィスや作業現場、店舗や街中などの人を検出し、人と人が近接している場合や密集している場合は警告を発して、密集密接予防を支援。
ソリューションパッケージを利用した「密集密接監視ソリューション」
  • 接近監視ソリューション
    作業員や作業車を検出し、近接時に警告を発し、作業現場の安全確保を支援。
  • 安全行動監視ソリューション
    工場内の作業員の行動を検出し、一時停止・侵入・装備などの作業ルール遵守状態を判定し、工場内安全教育に貢献。
  • 交通量監視ソリューション
    交差点の人や車の流出方向や数量を計測し、省人化を実現。
  • 駐車場監視ソリューション
    駐車している車を検出し、遠隔で利用者へ空きエリアの案内を実施することができる。

3.対応デバイスの拡充

従来対応しているNVIDIA製「Jetson TX2」「Jetson AGX Xavier」に加え、小型で軽量、安価な「Jetson Nano」を新たにラインナップに追加。「Jetson Nano」の追加によりコストを抑えたPoCの実現とシステムの小型化への要望にも対応可能になったという。

日立ソリューションズ・テクノロジーは、これからも、新常態(ニューノーマル)を支えるソリューションで業務効率化と安全対策を両立する環境の実現に貢献していくとしている。